〈愛〉の物語
〈激しい恋〉を、〈愛〉だと錯覚している人が、とっても多いです。
世に溢れた〈ラブソング〉や〈ラブストーリー〉のほとんどは、〈恋〉についてのものです。
例の〔世界の中心で叫ばれた〕のも、〈愛〉ではなく、〈恋〉です。
〈恋〉は、楽しく・ときめき・世界を鮮やかに染めてみせ、その一方で悩み・苦しむものです。
〈愛〉は、もっとずっと穏やかで・深く・揺るぎないものです。永遠です。
〈恋〉は〈恋〉でとってもすばらしいものですが、それを〈愛〉と混同するのはやめましょう。

ということで今回は、数少ない〈愛〉の物語の中から、幾つかをご紹介したいと思います。


まずは、『プロポーズの樹』です。
作家にして音楽家でもあり、平和活動に積極的に取り組んでいる、
ジェイムズ・トワイマンという人の作品です。

 「自分の身を捧げることが、この世で唯一本当に大切なことだ」

シンプルで心地よい文体とストーリーに、作者の純粋でまっすぐな
精神が顕れているように思います。
これは、ある1本の樹に捧げられた物語です。
その樹を聖なる場所とした2人。
樹の下で、〈儀式〉として、男は女に〈プロポーズ〉を繰り返します。
彼にとっては、その言葉は全て偽らざる真実の気持ちなのですが、
彼女にとってそれは、やがて現れるはずの〈運命の人〉のための予行演習にすぎません。
それでも、ひたむきに彼女だけを想い続ける彼。
何年も時はすぎ…、やがて彼女に、〈運命の人〉が現れます。
それでも彼は、彼女を、ずっとずっと変わらずに愛し続けます。
そして40年経っても、彼の想いは何一つ変わることはなかった…といった物語です。
ただひたすらに、相手の幸せだけを望み、たとえ離れても、変わらずに想い続けるのが〈愛〉。
そういうまっすぐな美しさに溢れた、〈純愛〉の物語ですね。



続きまして、『きみに読む物語』です。
『メッセージ・イン・ア・ボトル』などでも有名な、ニコラス・スパークスの処女作にして世界的大ベストセラー小説です。
昨年、映画化され、全米で大ヒットいたしました。日本でも来月より公開され、『セカチュー』・『いま会い』の次は、『きみ読む』だ~ッ!
とか、『マディソン郡の橋』を超えた!…などと宣伝中であります。

 「体は死の痛みで弱まるが、
  ぼくの約束は、二人の最後の日まで守られる」

年老いた男が、アルツハイマーに罹って記憶を失った妻のために、自分たちの〈愛の物語〉を話して聞かせ続ける…という物語です。
正直、若き日の2人の〈初恋〉や、その後の再会のドラマは、典型的なロマンス小説のようであまり好みではないのですが、年老いて、互いに死を目前にしながらも、お互いに慈しみ合う現代の2人には涙が溢れます。まさに文字通り、全身全霊を懸け生涯愛し抜いた…という壮絶な〈愛〉ですね。
とっても憧れます。映画もぜひ観たいですね。
こちらのオフィシャルサイトで、予告編その他いろいろご覧になれますので、ぜひどうぞ。



そして、今回最後の作品は、『ケイの凄春』です。
僕が〈心の師〉と仰いでいる小池一夫さんの原作で、小島剛夕さん
との黄金コンビによる大傑作時代劇画です。
お2人の『子連れ狼』に心からの感銘を受け、かつてはマンガ道を
目指した僕だったりもします。
その他、『半蔵の門』や『首斬り朝』などの世紀の傑作についての
レビューも、いずれ必ず書きたいと思っておりまする。
今回ご紹介します『ケイの凄春』は、その〈青春〉を〈凄絶なる愛〉で
染め上げた『ケイ』と『可憐』の、凄まじすぎる〈愛〉の軌跡です。
己の過去も現在も未来も捨てて、ただひたすらに愛する可憐を追う、ケイ。まるで太陽のように激しくまっすぐな生き様に触れた人々は、誰もが強く心を揺り動かされ、自らの人生を考え直します。
そして次第に、多くの人たちが、彼らの再会を我がことのように願うようになります。
それほどまでに、愛だけに生きる2人の姿は、眩しく・尊く・美しいのです。
序盤はずっと、ケイの正体も、その目的も判りません。巻を重ね、彼が無実の罪で投獄された時、ようやく彼らの〈凄春〉の歴史が語られ始めます。
それは想像を遥かに凌駕した壮絶すぎる〈愛の物語〉でした。取調べをしていた役人たちと共に、僕の涙も滂沱のごとく流れて止まりません。なんという〈悲劇〉、なんという〈愛〉!
感動の暴風雨。韓国ドラマが裸足で逃げ出すほど、本当に〈波乱万丈〉な〈純愛物語〉です。
この国にも、世界中に誇れる、これほどのストーリーテラーがいることを、ぜひとも知ってください。
さらに、稀代の天才絵師の描く…人物に、風景に、その線に感動してください。
おそらく誰も知らないであろう作品ですが、今回だけはどうかこの僕に騙されていただいて、ぜひ大型書店かマンガ喫茶に足をお運びくださいませ。
その辺の映画や小説たちが束になろうとも到底敵わないほど、感動のボディーブローを魂に連打される衝撃に充ちた、至高のエンターテインメント作品です。どうぞ、存分に泣いてください。


追記です。今回の記事のきっかけになったのは、なつめさんの記事です。



[PR]
by seikiabe | 2005-01-18 23:39 | レビュー


<< こないだのリラックマ占い 前のリラックマ占い >>