SFとミステリの幸せなる出逢い
 じつは僕は、〈ミステリ・ファン〉である前に〈SFファン〉だったりします。
 ポー、ドイル、ルブラン、クイーン、カー、クリスティー、チェスタートンと共に、
 ウェルズ、ブラッドベリ、アシモフ、クラーク、ハインラインなどで育ちました。


アイザック・アシモフの『われはロボット』も大好きです。
まさに古き良きSFここにあり、ですね。
ミステリ的な謎解き要素のあるお話や、ロボットと人間との友情や愛情を描いた感動作もある傑作短編集です。
ところが、映画化された『アイ,ロボット』を観てがっかりしました。
原作の静かで美しい雰囲気、そして哲学的要素は完全消滅して、単なるハリウッド的アクション映画になってしまっていたからです。
ストーリーは『鋼鉄都市』のシリーズなどからも流用されてるようですが、どれともかけ離れているし、あまりにも単純です。
あれならば『I,ROBOT』の名前を名乗る必要などなかったでしょう。
監督はアシモフの大ファンだというのですが、「どこがだよ~」って感じです。
原作(姉妹作『ロボットの時代』の方かもしれませんが)には〔1000台の中に1台だけ自我を持つロボットが紛れていて、それを見つけ出す〕というすばらしい設定のお話があって、どういうテストをすれば自我の有無を見分けられるか…試行錯誤し様々な試みをしていく中で、はたして自我とはいったい何なのか?!…という深遠なテーマに迫っています。
ところが映画では、これに似たエピソードを〔銃で撃って、逃げたやつが犯人〕的な、まったくもって知性のカケラもない方法で一瞬で解決?してしまうってんですから~‥‥。残念ッ!!
『バイセンテニアル・マン』を映画化した『アンドリューNDR114』の方が、まだずっとよかったです!

えー、少し感情に流されてしまいました。
とにかく僕はSFを愛しています。
ミステリの前はSFを書いていたのですが、SFになるとどうしても哲学というかエンターテインメントではない方向に突っ走ってしまいがちだったため、もっと広く誰にでも読んでもらえるものをと思っていたら、〈新本格ミステリ〉にはまってしまって現在に至る…というわけなのです。

といったわけで、〈本格ミステリ〉に〈SFテイスト〉を採り入れる…という野心的な試みをされてきた
西澤保彦さんの作品群には、すっかり魅了されてしまいました。
SFとしてはべりー・ライトで、『ドラえもん』的なギミックを軸にした〈SFチック・ミステリ〉です。
と言っても、バカにしているわけではありません。『ドラえもん』は本当にすばらしいSF作品です。
幼稚園児にも〈多次元〉や〈タイム・パラドックス〉といった概念を平易に伝えたり、〈どこでもドア〉や〈タイムふろしき〉に代表されるような至高のガジェットをいくつも産み出してきたんですから。
〈暗記パン〉に〈自信ヘルメット〉に〈ほんやくコンニャク〉、さらには〈もしもボックス〉などの、けっしてありえないけれど魅惑的な道具たちを、欲しいと切に願う時がある大人は僕以外にも多いはず。
藤子・F・不二雄さんは、まさに大天才です。僕の〈心の師〉の1人であります。
『未来ドロボウ』や『パラレル同窓会』などの、SF短編マンガの大傑作もたくさん描かれています。

またちょっと脱線しましたが、とにかく西澤さんのSFチック・ミステリはおもしろいですよ。
ライトでコミカルで読みやすく、けれど「読者を騙そう」(あくまでフェアに)…という〈ミステリ精神〉に溢れた素敵な作品を数多く書かれています。
そしてそのお話は、設定だけですでに興味を惹かれるものばかりです。

まずは『七回死んだ男』という作品です。かなり笑わせてもらいました。
設定はこうです。主人公であるキュータローは特異体質の持ち主です。
それは、ときどき〈時間反復落とし穴〉にはまってしまい、何度も同じ1日を繰り返してしまうというものです。
本人はようやく慣れつつもあったのですが、今回〈落とし穴〉によって反復された1日は、〈殺人事件〉が起こる日だったのです!
その被害者はキュータローのお祖父さん。〈落とし穴〉にはまっていることに気づいたキュータローは、それならば…と、事件を防ごうと行動します。そして見事に犯人と思われる人物を捜し出し、その人物を犯行時刻には被害者から遠ざけることに成功しました。
だがしかし! なぜかお祖父さんは、別の何者かによって殺されてしまうのです。
ならば今度こそは…と、次の反復では犯行を未然に防ごうと奮闘とするもやはりまたしても!…といったストーリーです。結局〔七回死んだ男〕を、最終的に護りきることはできるのでしょうか?!
ラストには、とびっきりのオチが待っています。


続いては『人格転移の殺人』です。奇想天外なこの作品、大好きです。
設定はこうです。大地震に巻き込まれた主人公たちが意識を取り戻したのは、とある奇妙な実験施設でした。
そして、そこに逃げ込んだ男女6名の人格は、なぜだか〈スライド〉して、みんな別の肉体の中に入っていたのです! 
ある一定の法則によって、繰り返されていく〈人格転移〉。その閉ざされた特殊な空間で、恐怖の〈連続殺人〉が始まったとしたらもう大変!
なんせ人格がどんどんと〈スライド〉していくわけですから、外見だけでは誰が誰だか判らないんです。
今この瞬間、いったい誰が犯人で、誰を信じればいいのやら大混乱です。真犯人を突き止めた…と思ってもまたまた〈転移〉。もう頭の中、完全にシェイクされちゃいます。
結局、誰の〈人格〉が真犯人か?…というお話なのですが、もちろん一筋縄ではいきません。
そしてその意外な結末とは…?


他には、突然現れた虹色の壁に触れると自分と完全に同じ〈コピー人間〉ができ、しかもコピーの方も人格を持っているし、オリジナルとの区別さえ極めて困難…という状況下での連続殺人事件を描いた『複製症候群』。

〔何か疑問を抱くと、自分ともう1人を除き、全ての時間が停止してしまう〕という特異体質の少年が、ナイフが刺さった男を発見してしまい、その謎を解明するまでは永久に時間が停まったまま…という世界の中で、さらに次々とナイフに刺された人たちと遭遇してしまい、謎は深まるばかり…という『ナイフが町に降ってくる』。

さらに、〔ちょーもんいん(超能力者問題秘密対策委員会出張相談所)〕の神麻嗣子の登場する『超能力事件簿』のシリーズは、超能力が存在する世界で、その不正使用を行った犯人は誰なのか?…をあくまで本格推理で丹念に解いていくお話です。
それにしても、よくも次から次へとまあ…って感じですよね。
これらの設定のどれかに興味を持たれた方は、西澤保彦さんのお名前をぜひご記憶を。
ちなみに、正統派ミステリの傑作もたくさん書かれているので念のため。



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# by seikiabe | 2005-02-10 00:00 | レビュー | Comments(14)
今日のリラックマ占い(2/9)

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たのしいごはんがいいごはん



『リラックマ生活 ~だらだらまいにちのススメ~』より



   とりあえず、復活いたしました~^^ そして、昔の記事↓なんかでごまかしてみたり‥‥
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# by seikiabe | 2005-02-08 18:20 | リラックマ占い | Comments(27)
『暗いところで待ち合わせ』とか…
 乙一さんの本をまだ読んだことのない人、いますか?
 なるべく急いで、『失はれる物語』か 『ZOO』をお買い求めくださいませ。
 どちらもハードカバーの短編集で、おそらくは〈ミステリ〉、ひょっとして〈ホラー〉といったコーナーに分類されているでしょうが、そういった枠には収まりきらない〈おもしろい物語〉が、そこにあります。


 たとえば表題作『失はれる物語』は、事故により右腕以外の感覚が一切麻痺した男と、その妻の物語です。完全なる暗闇の中で、妻の触れる右腕の感覚だけが世界の全てとなってしまった男。
 音楽教師だった妻はやがて、男の腕をピアノとして演奏を始める…。
 極限状況の中で試される愛。とても哀しくて美しい素敵な物語です。
 『傷』は、他人の負った〈傷〉を自分の肉体に移動させることのできる少年の物語。人を癒す度に自らその苦しみを背負い込んでいく、それでも人のためにありたいとする少年。その無垢なる精神。彼自身の傷が癒される日は訪れるのか?…といった物語です。
 そういった切ない話から、ダークな話、トリッキーな話、ひたすら奇妙な話など、なんでもござれの変幻自在・天衣無縫の天才的ストーリーテラーです。
 その他の作品では、ミステリ色の強い 『GOTH』や、ホラーテイストの 『暗黒童話』などのお話も抜群に面白くてお勧めです。
 

  僕が特にお気に入りなのが、『暗いところで待ち合わせ』(幻冬社文庫)という作品です。
もしジャンル分けするならミステリであり、事実ミステリとして面白いのですが、僕はその世界観になんとなく〈メルヘン〉を感じるのです。
 殺人の容疑で追われる青年が潜伏先として選んだのは、盲目の女性が独り暮らしする家でした。次第に不安が募っていく彼女と、息を潜めながらその様子を見つめている彼。その双方の気持ちを丁寧に描いていきます。
正直、設定としてはコント寸前ですよね。いくら目が不自由でも、自分の家に誰かが隠れ住んで、冷蔵庫を漁ったりしてバレないはずはないでしょう。そしてやはりというか彼女に気づかれてしまいます。殺人犯として指名手配中の男だということも。
しかし、彼女は彼が悪い人間ではないと感じ、黙って彼の分の食事を用意するようになる…という展開になるのがいいんですよねー。会話はないけれど暗黙の了解の下に過ごす奇妙な同居生活。彼女も彼も、素直すぎて生きるのが下手で、ともに深い孤独を抱えている。そんな2人が、次第に静かに心を通わせていく。そういったあたりが、綺麗で暖かくって大好きです。メルヘンだなーって思いますね。
 設定は奇抜なのに、その世界に読者をスーッと引き込んでいく筆力が素晴らしい作家さんです。


 ついでにといってはなんですが、乙一さんの作品でもマイ・フェイヴァリットなのは、短編で『BLUE』という作品です。『石の目』という新書か、もしくはそれを改題した『平面いぬ。』という文庫(集英社)に入っています。
 これはまさに〈純メルヘン〉な作品といえます。
 主人公のBLUEは、〈できそこないの人形〉です。
 買われていった家の子供には、〈かわいくない〉といつも粗末に扱われています。他の人形からもバカにされます。けれどもBLUEはそのことにすら気づかないほど無垢なのです。外見だけで全てを判断する世界は、BLUEに冷たい。それでもBLUEは、世界を愛し続ける。
 そんなBLUEの健気さに心を動かされ、涙すらしてしまう名作童話です。

 僕自身も最近は〈メルヘン〉な作品を書いたりしています。
 たとえば現在アップしている『ハート家の名探偵』も、〈メルヘン・ミステリー〉と呼べるものです。
テイストが〈甘い〉という意味だけではなくて、じつは物語をそして世界を〈抽象化〉する…という方向で作者は心を砕いていたりします。読んでいただいた方でも気がつかないかもしれませんが、あの作品には現実世界での固有名詞(地名とか、商品名とか、有名人など)はまったく登場しません。
 「むかし、むかし、あるところに‥‥」という〈お話〉なのです。
 社会や風俗を描写し時代を写す…のではなく、純粋な〈物語〉を紡ぎたい、そして風化することなく100年後にも通用する〈お話〉が書きたい、そんな野望を秘めてのことでもあります。

 それはともかく、
乙一さんの小説は面白いので、ぜひ読んでみてください。
 すでにファンだという方は、特に好きな作品など教えてくださいませんか?

 追記:『暗いところで待ち合わせ』、映画化されるんですね~!? どうなるんだろ?



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# by seikiabe | 2005-02-08 18:19 | レビュー | Comments(16)
今日のリラックマ占い(2/5)

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人生の息つぎ中なんですよ



『だららん日和 ~リラックマ生活2~』より



  今週はず~っと調子が悪くて、結局まともな記事は1つも書けませんでした。すいませんです。
  来週こそちゃんとがんばります、たぶん! 
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# by seikiabe | 2005-02-05 01:05 | リラックマ占い | Comments(34)
今日のリラックマ占い(2/4)


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やることがあるシアワセ



『リラックマ生活 ~だらだら毎日のススメ~』より


 またまたこればっかりでごめんなさい。そして、作者のコンドウ アキさん、本当にごめんなさい。
 でもじつは、ほんのちょっとだけ売り上げに貢献している…というウワサもあったり、なかったり。


 それから話はガラッと変わりますが、僕の友人の女性が、無断で名前と携帯の番号・アドレスを
 メル友募集の掲示板に書き込まれるという被害に遭いました。電話やメールがたくさん来てます。
 現在は受信拒否してますが、本人は、警察に行って犯人を絶対に突き止める!…と怒ってます。
 どうしたらよいでしょうかね? もしも何かよいアドバイスとかありましたら、よろしくお願いします。
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# by seikiabe | 2005-02-04 00:07 | リラックマ占い | Comments(33)
『星を継ぐもの』~至高のSFにして究極のミステリ~
みなさんにとって、これまでで〈ベスト1〉の小説とはなんでしょうか?
僕も選ぶのは非常に難しいのですが、夢中で読み耽った興奮と読後に受けた感銘という点では、
ジェイムズ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』を超える作品は、他にないかもしれません。


〈ハードSFの雄〉であるホーガンの処女作で出世作となったこの作品は、
〈センス・オブ・ワンダー〉に満ち溢れた〈空想科学小説〉の大傑作です。
しかも同時に、とびっきり極上の〈推理小説〉でもあります。
なので、〔SFファン+ミステリファン〕としては、完全に痺れまくりました。
小説とは、突き詰めれば〈ホラ話〉のことです。
もっともらしく素敵な作り話を語って…読者を魅了する、そんな芸術です。
それにしても、ホーガンの吹くホラの、あまりに魅力的なことときたら‥!!
そのスケールの壮大さと、ディテールの緻密さは尋常ではありません。
〈空想〉の豊かさも〈科学〉としての説得力も、並のSFとは桁違いです。
ホーガンの巻き起こす物語という巨大な渦に呑まれて…まるで息つく暇もなく辿りついた先には、まさしく驚天動地のラストが待ち受けていたのでした。しばし呆然‥‥そして押し寄せる感動。
ミステリとしても満点でしょう。その圧倒的な才能に平伏し、筆を折りたくなる心境になります。

  〈月面で発見された死体〉、それは真紅の宇宙服を着ていました。
  そして彼は、死後5万年以上経過していることが判明したのです!

  彼は、宇宙からやってきた異星人なのでしょうか?
  それにしては彼は、あまりにも我々と似すぎています。
  ならば彼は、かつての地球人なのでしょうか?
  人類はその時代に既に、月まで来る科学力を持っていたのでしょうか?
  だとしたら、その文明が失われてしまったのはなぜでしょう?
  その痕跡が地球上に残されていないのはどうしてでしょう?
 
主役となるのは、物理学者のハント博士と、生物学者のダンチェッカー教授です。
反発しあう2人を中心とした調査チームが、《チャーリー》と名付けられた例の死体やその持ち物を徹底的に分析し、様々な分野の専門家が色々な仮説を立てていきます。
しかし、1つの疑問が解けたかと思えばまた別の難問が現れるといった調子で、さらには木星の
衛星で巨大な宇宙船が発掘されて、事態は急展開。謎はどんどんと深まっていくのでした…。
とにかく全篇が〈謎解き〉、しかも難解な科学専門用語のオンパレードなので、推理も科学もどっちも苦手だ~…という人には結構辛いかもしれません。
けれど、僕的にはこれが〈ベスト1小説〉(の1つ)であります!


その物語は、続編の『ガニメデの優しい巨人』、そして『巨人たちの星』へと続きます。
ミステリの要素としては薄れるものの、スケールのさらにアップした第一級のエンターテインメント作品として充分に楽しめます。

10年ほど後に出た『内なる宇宙』という4作目の続編もありますが、大傑作だった前の3作からは少し見劣りしてしまいます。


このシリーズ以外にも良作は多く、個人的には『創世記機械』・『未来からのホットライン』などの〈発明ネタ〉の作品が大好きです。

〈反重力装置〉や〈タイムマシン〉を、物理学的なアプローチから猛烈にリアルに描いており、その〈科学〉と〈空想〉との虚実の皮膜を漂う感じが、たまらなく魅力的です。


映画やマンガでしか〈SF〉を体験したことのない方、天才ホーガンの描く〈ハードSF〉の魅力を一度味わってみてはいかがでしょうか? いや、ぜひとも!


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# by seikiabe | 2005-02-04 00:00 | レビュー | Comments(5)
今日のリラックマ占い(2/3)

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神様がくれた休息



『だららん日和 ~リラックマ生活2~』より



 現在、多少の体調不良による思考と感性の鈍化中につき、記事の更新とみなさまへのコメント
 をさぼっています。ごめんなさい。復活しだいご挨拶にうかがいますので、お許しくださいませ。

 それから、今回のメンテ後、画像が表示されないなどの不具合が生じている方、おられますか?
 僕はむしろ、昨日までより快適になった感じなのですが…。
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# by seikiabe | 2005-02-02 23:26 | リラックマ占い | Comments(42)
今日のリラックマ占い(2/2)

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おとなでもコドモなんです



『だららん日和 ~リラックマ生活2~』より

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# by seikiabe | 2005-01-29 13:40 | リラックマ占い | Comments(31)
もしも、あの時…!?
最近なんだか、考えすぎて記事が書けなくなってきたので、考えるのやめます!
リラックマくんの教え、「とりあえず やってみてはいかがですか?」を守って、もう少しだけ
「思うままにだらだら」という感じを強めつつ、書いてみることにいたしました。
ということで今回のレビュー、ただ書きたくなったものを、ゆる~く書かせていただきます。
なので、せっかく読んでいただいても、あんまり参考にならないと思います。ごめんなさい。

〈時間〉にまつわる超B級傑作SF映画たちですが、日本では未公開だったりするものもあり、
BSやCSとか、レンタル店でがんばって探し出してご覧いただくしかないかもなのですよね。
完全に僕の〈趣味〉の映画ですし、観る手段がなかったりするというひどい話ですが、どうか
お許しください。けれど、観て損のないものばかりですので、よろしければタイトルだけでも
覚えておいてください。それと、かなりストーリーに触れていますので、ご注意くださいませ。



b0030720_024148.jpgまずは、『バタフライ・エフェクト(邦題未定)』です。
全米で作年公開されて大ヒットした、SFサスペンスです。
日本でも、春くらいには公開される予定ですが、たまたまこの映画を観る機会があり、たいへん刺激を受けました。
「バタフライ・エフェクト」は、カオス理論の喩えとして有名ですが、「わずか1匹の蝶のたった1度の羽ばたきが、遥か地球の裏側で竜巻を発生させる要因にもなりえる」…といったことです。
つまり、些細なきっかけで結果的にすごく大きな変化が生じる…ということですね。(「風が吹けば桶屋が…」の科学的バージョン?)
それでは以下、完全にネタバレを含んでおりますので、ストーリーを知りたくない方は、次の作品まで飛ばしちゃってくださいませ。
(でも、このテーマな時点で、かなりバレてますよね。すいません)

ある人物が研究所のような場所で暗闇の中、必死で隠れている…というシーンから始まり、場面は一気に13年前、彼の少年時代に遡ります。
当時の彼は、突然に意識がなくなり、気が付いた時にはその間の記憶を失っている…ということが頻繁に起こります。その数々の空白の時間に何が?…ということなのですが、よくある二重人格のお話などではありません。不思議なシーンが無数にありますが、話が進むにつれて、それはすべて「なるほど!」に変わります。
すべては、彼の〈能力〉によるものだったのです。(この先、本当にネタバレです)

彼の能力とは、過去の自分に戻る力です。
自分の日記を読むことによって、その日記の出来事の起こった瞬間の自分に、現在の自分の魂が乗り移って、過去を書き変える!ことができるのです。
逆に乗り移られている間、幼い彼の意識は〈ブラックアウト〉していた…ということなのです。
ドラえもんの「タマシイム・マシン」(タイムマシンじゃないですよ)に近いと言えばご理解いただけるでしょうか。(よけい解らないですよね)
だれだって、「もしも、あの時、こうできていたら…」ってこと、ありますよね~。
そういう意味でも、こういった〈タイムトラベルもの〉には惹かれちゃいますよね。
この主人公も、そう思って能力を駆使して過去を改変するのですが、そのささいなことで、その後の人生は激変し、逆に予想していなかった悲劇をも招いてしまいます。
あちらをたてれば、今度はこちらが~…という感じで、どうにもうまくいきません。
そして最終手段として彼は‥‥!?

とにかく脚本が抜群におもしろい作品なので、見ごたえがありました。ばら撒かれた伏線が、後々になって「ほう、なるほど~」と徐々にピースが嵌っていくのは快感でした。ラストまで破綻せずに、丁寧に作られたお話です。よくできてます。
彼が過去を改竄したい理由が、幼馴染の女の子のためだったりするのもいいですね。
とってもおもしろかったですね。お薦めです。



b0030720_043572.jpg続きまして「タイムマイン」です。原題では「クロックストッパーズ」。
要するに、時間を停止して〈自分のもの〉に出来るということです。
装置としてはドラえもんの「たんまウォッチ」みたいなものです。
効果としてはサイボーグ009の「加速装置」の役目を果たします。
そんな「ハイパータイム」という機能を持った不思議な時計を手に入れた高校生が、その力を使ってイタズラしまくったりするうちに、やがて装置の〈軍事利用〉を企む組織と闘うことになってしまって
…というお話です。
子供から大人まで楽しめる痛快な作品です。
実際、僕は知り合いの子供たちと一緒に観たのですが、誰かが「ハイパーターイム!」と言うと、それ以外の人たちは解除されるまで動けなくなる…という遊びをして、しばらく楽しんでいました。

「時間よ止まれーッ!!」 
停止した時間の中で自分たちだけが動けるとしたら、あなたは何をしますか?
これもさまざまなSFで描かれてきた、魅力的なモチーフですよね。
この映画、低予算ながらも、「ハイパータイム」による〈超低速〉の世界の表現(昆虫の羽ばたきや、噴水の水など)も工夫され、かなり楽しめました。
他の人からすれば〈超高速〉で動いていることになるのですが、手をつなぐことで別の人もその世界に招待できたり、さらには「ハイパータイム」同士での戦い(まさに009ですが)や、液体窒素などで冷やすと元に戻ってしまう弱点、そして、どんどん常人よりも早く年を取ってしまう欠点など、要所のポイントを抑えた脚本も○です。
オリジナリティーという意味では欠けますが、コメディータッチでとても楽しく観ることができ、ラストもなかなか満足のいくものでした。
もしも置いているレンタル店がありましたら、お手に取ってみてくださいませ。
ちなみに2002年の作品です。



b0030720_053689.jpg続いては、『恋はデジャ・ブ』です。
この作品、大好きです。脚本が本当に絶妙で感心します。
何度も爆笑させてもらいました。ビル・マーレーもさすがですね。
彼が演じる主人公は、テレビの気象予報士です。今は小さな番組しか担当しておらず、仕事に対する不満を抱えていたり、とにかく(主人公でいいの?…というくらい)すごく嫌なやつなのです。
そんな彼が、ある田舎町のお祭り(原題の『グランドホッグ・デイ』はそのお祭りの日のことです)に取材にやって来ます。
やる気もなく、さっさと仕事を済ませて街に帰ろうとするのですが、あいにくの大雪のため、村から出られなくなってしまいます。
けれど、彼が閉じ込められたのは、〈空間〉としての村だけでなく、〈時間〉の牢獄でもあったのです。

原因は(最後まで)不明ですが、「グランドホッグ・デイ」という1日が、彼だけに永久に繰り返されることになるのです。
どうやっても抜け出せません。たとえ何があっても、朝目覚めると、また同じ1日が始まるのです。死ぬことすらできません。
ヤケになった彼は、暴走します。「何をやってもチャラ!」ということを逆に利用して、やりたい放題。
そしてここからがおもしろいのですが、彼は〈学習〉を始めます。例えば、現金輸送車の警備が手薄になるタイミングであるとか。毎日ちょっとずつ、学んでいくのです。
もっと秀逸なのは、ナンパ方法です。初対面の相手に名前と出身校などを訊き、次の日、その情報をきっかけに仲良くなり、また次の日には彼女の好みを知ってさらに関係を深めて…というように、〈トライ&エラー〉を繰り返して、確実にステップアップしていくのです。
そうやって、村中の女性を次々とものにしていきます。(やっぱりひどい男だ~)
しかし1人だけ、どうやっても落とせない相手がいました。同行していた女性プロデューサーです。
純粋で天然な彼女にだけは、彼の悪知恵も通用しません。
そんな彼女に、いつしか本気で恋をしてしまった彼。そして、彼は変わり始める…というお話です。
これだけよくできた脚本も珍しいですね。強いて言えば、肝心のラストが少し弱いところだけです。それ以外は文句なしです。こうして記事を書きながら、また観直したくなってきちゃいましたね~。



b0030720_061363.jpgせっかくなので、『タイムアクセル』もご紹介しておきます。
けれど、原題『12:01』というこの作品、『恋はデジャ・ブ』とあまりにもカブってるんです。
同じ1日をずっと繰り返すというモチーフが同じなのですね。
しかも公開年も同じ1993年。
あちらの作品がなければ、良作としてお薦めできるのですが…。
この作品、ラストが『恋は~』のように「おしい」ではなく、「残念」なくらいに弱いのですね。中盤の〈繰り返し〉はおもしろいのですが。
装置によって反復現象が起こったり、こちらはSFやサスペンス色も濃かったりと、細部やテイストはまるで違うのですが、なんだかワリをくった感じですね。
でも、こちらの方が好きな方もおられるでしょうし、ゆるゆるついでにご紹介させていただきました。
個人的には、監督のジャック・ショルダーも、ヒロインのヘレン・スレイターも、好きだったりします。



b0030720_064699.jpgそして、いわずと知れた『バック・トゥー・ザ・フューチャー』です。
この映画を初めて観た時の感動は忘れられません。
本当に大傑作SFですね。点数付けるなら、120点!
ちなみに2は、72点で、3は、88点くらいですかね~。
愛してます。ただし、吹替版は絶対にダメです。この映画だけは、字幕じゃないと。特にテレビの〈織田裕二版〉の方は、犯罪です。観たのが〈あれ〉だった人は、まさに悲劇です。
ストーリーについては割愛します。みんな知ってるでしょうし、もしまだ観たことがないという幸運な方がいましたら、今すぐレンタルしてきて(パッケージ裏も見ないで)、とにかく観てください。
前半30分ほどは、全部〈フリ〉です。そこさえ越えれば、もう笑って笑って興奮して感動!…まちがいなしです。奇跡の脚本ですね。



それから、これはミステリ小説ですが、西澤保彦さんの『七回死んだ男』も、相当おもしろいですよ。
この本については、以前のレビューで書いてますので、もしよろしければ。

〈時間ネタ〉、これ以外にもたくさんありますね。映画はもちろん小説やマンガなど含めると膨大に。
人はやっぱり、「時間を自在に操りたーい!」という願望、強いんでしょうね~。
あなたなら、「いつの時代」に戻って、「何をしたい」ですか?



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# by seikiabe | 2005-01-27 00:00 | レビュー | Comments(44)
こないだのリラックマ占い

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今こうしていることも大事なおもいで



  
『だららん日和 ~リラックマ生活2~』より


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おひさまなら元気をくれますよ







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いっちょ笑ってみてはいかがですか



『リラックマ生活 ~だらだらまいにちのススメ~』より

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# by seikiabe | 2005-01-26 00:00 | リラックマ占い | Comments(27)