〈名探偵〉いろいろ
 最近なんだかずっと、ミステリの紹介をしていませんでしたね。
 やっぱり『Ditective Story』というタイトルにはしなくてよかったかも…ですね。
 というか、このBLOGって、すっかり寄せ鍋状態ですね~。統一感というものが……。
 それはともかく、今回も〈探偵小説〉の傑作をご紹介させていただきます!


まずは、『猫探偵正太郎』くんのシリーズです。
『RIKO』や『炎都』などのシリーズで有名な柴田よしきさんが、ご自身の溢れる〈猫への愛〉を炸裂させたミステリです。
現在、長編が2作と短編集が3作、発売されています。
〈本格ミステリ〉のファンおよび、無類の〈猫好き〉の方にお薦めです。
特に短編集は、正太郎くん自身の目線で語られたお話と、正太郎くんと(いろんな形で)出逢う人間の視点から描かれた物語が、交互に入っていて味わいのあるものになっています。
〈日常の謎〉というよりは、殺人などの事件を描いたお話ですね。
親友のサスケ(チャウチャウ系雑種犬)や、〈同居人〉である桜川ひとみたちとの友情あふれるやりとりも楽しく、人情味にも溢れたお話です。


つづきましては、『人形探偵鞠夫』くんのシリーズです。
『かまいたちの夜』の作者としても有名な我孫子武丸さんの作品です。
奇跡の傑作の『殺戮に到る病』も好きですが、この『人形探偵シリーズ』(4作まで出ています)は、本当に僕の大好きな作品です。
我孫子さんの文章とユーモアセンスには、いつも感心してしまいます。
普段あまりミステリを読まれない方、特に女性の方にぜひぜひ読んで
いただきたい作品です。
主役は妹尾睦月という保育士の女性。そして彼女が恋に落ちるのが、内気な天才腹話術師の朝永嘉夫という青年です。
そして彼の相棒の人形が、我らが《鞠小路鞠夫くん》なのです。
口が悪いけれど憎めない鞠夫くんはなんと、朝永さん本人も驚く〈名探偵〉だったのです!
2人のもどかしい恋愛模様と、キュートな鞠夫くんの名推理。とってもほのぼのタッチのお話です。
まだ読まれたことのない方は、要チェックですよ~。


そして今回最後にご紹介しますのが、『安楽椅子探偵アーチー』です。
ミステリの世界で『安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)』という言葉があります。つまり、実際に捜査に奔走したりすることなく、事件の状況を説明してもらうだけで、たちどころにその真相を推理してしまう…という名探偵のことです。クリスティーの『ミス・マープル』や、ヤッフェの『ブロンクスのママ』のシリーズなどが有名でしょうか。
ミステリとしてスマートで、僕自身がもっとも好むスタイルでもあります。
しかし、文字通り〈安楽椅子〉が〈名探偵〉となってしまった!というこの作品にはちょっと驚きましたね。
長い年月を経て、しゃべるどころかホームズのような推理力を持つほどになった骨董の安楽椅子と、それを手に入れた小学生・衛との奇妙な友情を描いた作品です。
正直ミステリとしてはちょっと弱いかな~とも思ったのですが、この奇抜なアイデアに感心したのと、そしてジュブナイルとして子供が読むにはとってもよいかな…と思ってご紹介いたしました。


しかし、いろいろな〈名探偵〉がいるものです。(まだまだたくさんいるので、また紹介しますね)
僕自身の書いた『ハート家の名探偵』の場合も、既存の名探偵に対するアンチテーゼから生まれた作品です。そして、〈誰が名探偵か?〉というのが、第1の謎となっております。
もしもよろしかったら、読んでくださると光栄です。


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# by seikiabe | 2004-11-19 11:16 | レビュー | Comments(9)
自由人
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  ……この部屋では、時が停まっている。フィオ・スレイバーには、それは真実だと思える。
ありふれたアパートメントの一室。その玄関に入った途端に独特の空気感に包まれるのは、
ここの住人が社会や常識といったものから隔絶した感覚で生きているからなのであろうか。
 フィオは、久しぶりに訪ねたこの場所が変わらぬ固有の雰囲気を保っていたことに安堵し、
小さな感動を覚えていた。やはり自分はこの空間に安らぎに似た感情を抱かされてしまう。
  そして、ここに住む旧友のことを心の何処かで必要としていたのだ、とも自覚させられる。
「遅いな、フィオ。何をやっていた?」
 思わず時計を確かめる。約束の時刻よりもまだ15分ほど早い。
〈フフ‥‥相変わらずだな〉
 約1年ぶりの突然の電話に、仕事を無理に切り上げてまで律義にやってきた自分自身も、
それなのにまるで1時間も遅刻してきたかの様に責める相手の身勝手さも妙に可笑しくて、
フィオは軽く微笑みながらネクタイを緩めた。
  殺風景な部屋の片隅に座った《ギアス・マードル》の顔は、やはり1年前のままである。
というよりもこの男は、容姿から考え方までハイスクール時代からまるで変化がないのだ。
 揺るぎない意志の力を示す強い眼差し。激しすぎる精神を閉じ込める引き締まった肉体。
自信と情熱と野望に充ち溢れた男がそこにいた。放射されるオーラすら目に視えるようだ。
 フィオもこの部屋で過ごした時間の分だけは他の人間より若いという自負はあるのだが、
ここの住人にはかなうはずもない。肉体年齢は精神のそれに左右される、〈自由人〉とは
誰にも何にも縛られない。法はもちろん、時の流れにすら俺は束縛されないと奴は言った。
そもそも時間とは、完全に〈主観的存在〉なのだとも。
  卒業を前にしたある日、ギアスはみんなの前で自分は〈革命家〉になるのだと宣言した。
だがそれを聞いた者は嘲笑に近い笑みを浮かべた。なるほどな、と1人がフィオに呟いた。
やはり〈変人〉は違うな、そんなニュアンスである。まったく勉強などはしないし授業さえも
聞かないくせに常にトップの成績を維持し続けていたギアスであったが、エキセントリック
な言動からまさに〈紙一重〉だという評価を得てもいた。
「フィオ、もし俺に友人がいるとしたら、それは君だけだ」…そう告白され、フィオは戸惑った
ものである。成績や運動も平均並で特技の1つすらない自分などに、何故この個性溢れる
天才が心を開いたのか解らない。「君は実にユニークな存在だ」という言葉も納得いかず、
おまえには言われたくないッと思った。彼の暴言や奇行の数々は枚挙に暇がないほどで、
なぜギアスと友人でいられるのか誰からも不思議がられていた。
  やたらと喜怒哀楽の激しい性格で、とりわけ〈怒り〉の感情を常に周囲へと発散する男。
いつも誰彼となく議論を吹きかけ、そして独善的な論理で相手を打ち砕き、それでもなお
悔しそうな顔つきのまま去って、そしてまた次の獲物を発見しては噛みつく日々。
  彼の革命とは、地球上から全ての〈国家〉や〈民族〉や〈宗教〉という概念を根絶すること
にあるらしい。「〈神〉に祈る奴らは全員、〈地獄〉に堕ちろ!」と、ギアスはよく吼えていた。
  たとえどんな宗教であれ、誰かが造ったものである。つまり、既存の宗教を信じるのは、
自ら〈真理〉を追究せずに、思考を停止し、他人の思想や理念を模倣して生きることである。
己の頭で考えることを止めた者は、〈愛〉や〈正義〉の名の下にて〈異教徒〉を殺戮すること
すら善とする。したがって〈宗教〉がある限り〈平和〉など永久に訪れない…ということらしい。
  フィオには親友の主張は到底理解できないが、彼の目を見てその言葉を耳にしていると、
こいつには〈世界を変える力〉があるかもしれない、そんな風に思えてしかたないのだった。


"the freeman"




え~、近頃のうちのblogの傾向からは明らかに浮いていますが、音羽さんinablinkさんの作品に刺激を受けて、こんな感じのもアップしてしまいました。〈自分を信じ抜く強さ〉、欲しいものですね。
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# by seikiabe | 2004-11-17 12:00 | ショートショート | Comments(28)
声の演技

みなさん、やっぱり『ハウルの動く城』は観ますか?
僕は五分五分ですね~。
キムタクじゃなかったら100%観たいんですけど。

〈声〉って、僕にとってすっごく重要なファクターなのです。
もしかしたら、〈顔〉よりも重くみているかもしれません。
声を聴けば、誰の声かはほぼ確実に解ります。知り合いはもちろん、CMのナレーションとかでも。
〈目〉とか〈舌〉はないんですが、〈耳〉は持っているつもりです。
だから僕にとって、〈声の印象〉ってかなり大切なんですよね。
それに、アニメや洋画の吹き替えの場合だと、そこに〈演技〉も加わりますからね。
たとえば洋画なんかだと、同じ映画だとしても、字幕版と吹き替え版さらに声優さんが違うテレビ版とでは、評価がまったく変わってきます。
上手な声優さんの場合だと、オリジナルより良くなる場合もありますし。
〈訳〉とか〈日本語演出〉によっても、ぜんぜん違ってきます。極端な場合には、あるバージョンでは〈すごくおもしろい〉作品が、別のバージョンで観ると〈ぜんぜんつまらない〉…というほどまるっきり印象が異なることもありますから、油断できません。
最近はDVDに字幕も吹き替えも両方入っていて、すごく助かります。今までは両方とも借りてきて比べたりしてましたからね。それでも、テレビ版のあのときの吹き替えが最高に良かった…なんて場合もあったりしますが。

しかし、声優でもない人を使うのは、論外ですね。
話題性だけで、素人に声優をやらせるのは本当にやめてほしいです。
声優の演技と普通の俳優の演技って、別物ですから。
そんなこと200も解ってるはずの宮崎監督が、なぜ素人ばかりを使うようになったのでしょうか?
おそらくは、声優さんの型どおりの〈80点〉とか〈90点〉の演技に飽き足らなくなって、それ以上を求めているのでしょうが‥‥結果はみんな〈50点〉以下になっちゃってますよ。監督~。
役者本人の顔が浮かんでしまって、一歩も映画の世界に入れないんですけど。

それにしても、キムタクって……。
役者の演技があれなのに、声優ができるとでも思ったのでしょうか?
肝心の主役がダメダメじゃ、何年もかけて何万枚の絵を描こうとも脚本がどれだけおもしろかろうと音楽がすばらしかろうと、全部ドブに流しちゃったのと同じですよ。それでもいいんですか?!
あまり声にこだわってない人でも、いくらなんでもキムタクだとさすがに怒るんじゃないですかね?
完全に理解不能です。
英語版の字幕付きとかで観るしかないですかね~?

あと、『ルパン三世』。そろそろなんとかなりませんか?
山田康雄さんが天才すぎて、誰がやっても越えられないと思いますが、とりあえず演技が上手くて声がかっこいい人に代えてください。
年に1回やるのなら、毎年変えてみてはどうでしょうか?

あ、それから、もう『ハウル』をご覧になった方がいましたら、ご感想教えてくださいませ~!

追記:ドラえもんの主要メンバーが全部代わっちゃうなんて、寂しいですね…。


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# by seikiabe | 2004-11-16 09:18 | 雑記 | Comments(14)
『そのときは彼によろしく』

市川拓司さんの4冊目の本です。
感想としては、とってもおもしろかったです。
文章や会話なんかは、今までで一番好きかもしれないです。
ただ、〈泣ける〉という部分では弱いので、そればかりを期待されている人にはどうかと思いますが。
でも、『いま、会いにゆきます』の(原作の)ファンの方なら、「にやり」とするでしょうね。
なんせ、〈ゴミ集めが大好きな佑司くん〉が登場するんですから。
しかも、「ヒューウィック?」と鳴く(?)老犬を連れて!
『恋愛寫眞』(小説のほうです)を好きな人も楽しめるでしょう。
というかこの人、〈手も品も変えず〉にまったく〈同じモチーフ〉だけで全ての作品を書いてますよね。
〔走るのだけが得意で恋愛も人づきあいも苦手で内気でダメなぼくが、ちょっと個性的な女の子に好きになってもらえて救われる。でも彼女には常識ではありえない出来事が起こってしまって…〕という話ですよね、全部。
ま、いいんですけどね。おもしろいから。
それに作家にとって、自分がノッて書けるというか、本当に語りたい重要な〈テーマ〉とか〈モチーフ〉
なんて、そんなに数多くあるわけじゃないんですよね。(市川さんほど極端な例も珍しいですが)
宮崎駿監督だって、全部が〔お姫様を助け出す話〕なわけですし。〔空を飛ぶ〕も、必ずですよね。
僕なんか、昔は絶対に〔人類が滅んでしまう話〕しか書けなかったですから。切腹~っ!…ですよ。
本当にお恥ずかしい。
とにかく、僕は『そのときは彼によろしく』、好きです。
ただ装丁は、『いま…』に近いものか、できれば美しい水槽か池の写真にしてほしかったですね。
タイトルは、『ずっと、待ってるからね』…なんてのどうだったでしょうか? 
そうすれば、かなり売り上げも違うと思いますが…。うー、なんて醜い発想だ~、切腹~っ!!


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# by seikiabe | 2004-11-14 01:24 | レビュー | Comments(14)
大人のための絵本
絵本が好きです。
エリック・カール、モーリス・センダック、マーカス・フィスター、アンドレ・ダーハン、レオ・レオニ、
五味太郎さん、佐野洋子さん、長新太さん、島田ゆかさん、安野光雅さん、中川李枝子さん……。
豊かな発想とすばらしい表現力によって描かれた個性溢れる素敵なワンダーランド。
幼い頃から今日まで、僕を惹きつけてやみません。
絵が描ける人には、とっても憧れてしまいますね。

そして、最近ではどこの書店にも、大人向けの小さな絵本のコーナーがありますよね。
子供のいる人だけではなく、自分のために絵本を買う大人もたくさんいるということなのでしょう。
そんな中で、僕の気に入っている作品を幾つか紹介させていただきます。


まずは、かとうようこさんの『会いたくて… ただそれだけで…』です。
完全に一目惚れでした。
何十冊とある似たような本の中で、この本だけが心に飛び込んできて住みついてしまいました。
彼女もまったく同じ気持ちだったようなので、2人して笑顔でもう一冊の『ぜったいまもってあげるから…』も手にしてレジに向かいました。
まったく気取ってないところがいいですね~。
素朴といいますか、〈まっすぐ〉なお気持ちが、胸に響いてきます。
大人になってこれほどの純粋さを保たれているのはすごいことです。
僕も、この本を読むとなんだか素直な自分になれます。
失礼ながら、絵も字も〈お上手〉とは言えないのですが、すごく味があって非常に好感がもてます。
また、色使いがとってもすばらしいですね。
この鮮やかで優しい色を眺めているだけでも、心が楽しくなってきます。
1冊に3つの作品が入っていて、恋してるときの世界が華やいで見えたりまた不安に囚われたり…という気持ちを描いた表題作と、ココロが重くて飛べなくなってしまったときの『飛べない夜の歌』、不安な人生もはなうたまじりに歩いていこう…という『みえない橋も歩いていける』が入っています。






つづいては、『よこしまくん』です。
彼はフェレットなのですが、いつも青のボーダーのシャツを着ています。
じつはそんな服を何着も何着も持っていたりするのですが。
彼はとっても〈ひねくれ屋〉で、自分の気持ちに素直ではありません。
本当はけっこういいやつなのに、口にするのは反対のことばかり。
すごくうれしいときに「ばっかじゃね~の~」なんて言ってみたり。
口が悪くて人づきあいがヘタクソで、色んなことにものすごくこだわりを持っていたりする、よこしまくん。
どこかの誰かと似ている彼は、とっても憎めないキャラクターです。


そして、『リラックマ生活 -だらだらまいにちのすすめ-』です。
とにかくのんびり屋というか、なまけものというか、
〔明日でもできることは、今日はしない!〕…という、
〈お気楽極楽〉な彼の、だらだら生活を描いた作品です。
しかし彼は彼なりに、すごくポリシーを持ってだらけているのです。
のんびりゆっくり…より道や休憩ばかりの人生を謳歌しています。
そんな彼のメッセージを聞くことで、忙しい日々を送っているあなたも微笑みながら肩の力を抜くことができるかもしれません。
お友達のキイロイトリのツッコミが、またいい味出してます。


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# by seikiabe | 2004-11-11 23:34 | レビュー | Comments(13)
『DEATH NOTE』
ミステリの中に、〈倒叙〉という形式があります。
多くのミステリでは、フーダニット(犯人は誰か?)やホワイダニット(動機は何か?)やハウダニット(犯行の手口は?)といったものが、〈謎〉となります。
そういった謎を、探偵役や警察が推理や捜査によって解明していくことになります。
それを転倒し、事件を〈犯人の側〉から描いていくスタイルが、〈倒叙ミステリ〉です。

冒頭で犯行シーンを見せて、読者には犯人はもちろん動機やその手口さえほぼ明かされます。
そして探偵役が登場し、事件を鋭い視点で突付いて針の穴ほどの点を徐々に大きくしていきます。
当初はぬかりないはずだった計画は次第に崩れていき、ついに決定的な証拠が発見され、犯人は逮捕されてしまうことになります。証拠のない場合は、探偵が罠を仕掛けてくる場合もあります。
つまり、犯人が〈どこでミスをするか?〉がポイントとなるわけです。
『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』のスタイルですね。

そして僕は、倒叙ミステリの醍醐味は〈犯人への感情移入〉にあると思います。
犯人側の目線になった読者が、捜査の手がどんどんと迫ってくるのを、犯人と一緒になってドキドキハラハラしながら見守る…というのが倒叙ならではの楽しみでしょう。

そのためには、犯行の〈動機〉が〔共感できる〕ものだと感情移入しやすくてよいと思います。
たとえば、被害者となった人間が悪魔のようなやつで、犯人でなくても〔殺した方が世のためだ〕と思えるほどひどい相手であれば、殺した犯人に同情もするでしょう。
不慮の事故で人を殺してしまうなど、〔誰にでも起こりうる〕という形にするのもありでしょう。
〔自分が犯人と同じ立場だったら?〕と想像してもらえればベストです。

そして、反対に〈探偵役が嫌なやつ〉というのもよいでしょう。たとえば、しつこくて、鋭くて、おまけにやたらカンに触ることばかりするコロンボ警部補のような相手。犯人に肩入れして見る側とすれば、コロンボなんて本当に〔うっとうしい〕存在ですよね。〔こいつさえいなければ~〕って感じで。しかもわざと無能なふりをしたり、今思い出したかのように一言付け加えたりして、とっても憎らしいです。

そしてなにより、〈犯人の頭がいい〉ということが重要です。その計画は限りなく〈完全犯罪〉に近いほどよいでしょう。〔こんなやつは捕まっても当然だ〕と思われてはいけません。
〔ここまでやったんだから〕と読者が感心し、〔もう警察も見逃してあげてくれ~〕と願うほどなら完璧です。でもこれは作者も相当頭がよくないとダメですし、非常に難しいです。『コロンボ』も『古畑』も、シリーズを重ねるごとに犯人がマヌケで計画が杜撰になっていき、〔ダメダメ犯人、やっぱり捕まる〕という感じになってしまいました。『青の炎』も、犯人にすごく同情するものの、犯行計画が穴だらけなので、今一つ応援しきれませんでした。『OUT』の場合は、計画性の無さがより緊張感を増してすごくおもしろかったですが。
でもやはり、〈名探偵vs名犯人〉のハイレベルな頭脳戦を楽しみたいものです。

え~、前置きが非常に長くなりましたが要するに、『DEATHNOTE』は上の条件を満たした非常におもしろい作品なのです。(誰も倒叙ミステリとしては読んでないかも?…ですが)


b0030720_431025.jpg名前を書けば、その相手を殺すことができる…というデスノートを拾った
夜神月(ライト)は、非常に頭脳明晰な少年でした。
彼はそのノートを使い、次々と犯罪者たちに独自の〈死の裁き〉を与えていきます。《キラ》と呼ばれるようになった彼を、ある者は〈悪魔〉と恐れ、またある者は〈神〉のごとく崇拝します。
自分の正体を探る捜査員たちをも始末していくライト。彼に対抗できる
のは数々の難事件を解決した《L》と呼ばれる謎の少年だけであった…。
つまり、〈キラvsL〉の頭脳ゲームということなのですが、ライトがまさに
天才的な〈名犯人〉で、しかしLも一歩も引かないコロンボなみの男で、
お互いの腹の底の底を探り合う非常に白熱した闘いになっています。
展開が速いというか、密度が濃いですね~。この原作者はいったい何者なんでしょう?
画の方の小畑健さんは、デビュー当時から抜群に画力のあった人ですが、本当に上手ですよね。
それにしても、このマンガが載っているのが青年誌ではなくて、あの『少年ジャンプ』だということが恐ろしいです。右も左も〈バトルマンガ〉ば~っかりの中で、あまりにも異彩を放っています。
今月出た第4巻では、もう1冊のデスノートを持った少女が現れて事態は急変!…という展開です。この辺りまではジャンプで読んでいたのですが、この先はもう知りません。いったいどうなる~?!…と続きが気になって気になって……。


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# by seikiabe | 2004-11-09 05:17 | レビュー | Comments(13)
目指せ名探偵!
b0030720_21235288.jpgごめんなさい。
今週は少し忙しかったのと、季節の変わり目のせいか
体調がよくないのもあってあまり更新できませんでした。
薬が切れると咳が止まらなくて、ひどい時は呼吸困難に
なってしまいます。息ができないというのは辛いですね~。
人ごみに出たり、少し運動したりするともうダメです。
まるっきり《たっくん》だな~と思います。
料理もからっきしだし。ダメダメな男なのです。
がんばって映画に行くのにはなんとか成功しましたが、
途中で発作が起きたら…とヒヤヒヤでした。
こんな男ですが、どうかこれからもおつきあいくださいませ。

それではここでまた、と~っても簡単なミニ・ミステリを1つ。

季節は夏。激しい夕立の降った日。
現場は密室状況でした。
玄関にも窓にもすべて鍵が掛かっていたマンションの一室。
キッチンで右手にナイフを握ったまま倒れている死体。
胸にはそのナイフによってつけられた深い傷。おびただしい出血。
左手にはなぜかフライパン。周囲に漂うオリーブオイルの香り。
被害者のエイミーは、イタリア料理のシェフでした。
当初は自殺かとも思われました。
しかし、凶器のナイフにもう1人別の人間の指紋がついていたことで、状況は変わりました。
容疑者となったのは、恋人のジェイク。フランス料理のシェフです。
ナイフの指紋と合鍵を持っていたことなどからジェイクの犯行だとされ、逮捕されました。
ジェイクには死亡推定時刻のアリバイもありません。
先日2人が激しいケンカをしていた…という証言もよせられました。
しかしジェイクは、「俺はやってない。エイミーを愛してるんだ。殺すはずがない」と否認。
そんな中、数々の難事件を解決してきたアーサー・ドレイク警部だけは、ジェイクの犯行では
ないと確信していました。
さて、どうしてでしょうか?

(自信のある方は〈非公開〉でご解答いただけるとありがたいです)

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# by seikiabe | 2004-11-05 22:03 | ミニ・ミステリ | Comments(19)
やっぱり泣いちゃいました…

『いま、会いにゆきます』の映画を観て参りました。
感想としては、満点あげます!
いや、原作とは完全に別物でした。骨格となるストーリーは同じですが、舞台もキャラ設定もエピソードも、細部はほとんど異なっています。
でもでも! 映画として、とっても良い作品になっていました。
映画の方がよくなっていた点も数多くあるほどです。
やっぱり〈絵本〉の設定は大正解です。〈日記〉にしたのも成功ですね。
ノンブル先生やプーがいないのは寂しいし、歌のエピソードも残念です。
けれどトータルでみれば、文句はまったくないほどよく出来ていました。

シナリオがすばらしいです。大胆なアレンジが加わっていますが、とても解り易くスマートにできていました。付け足したエピソードもすごくうまいです。
演技もとってもよかったです。もうあの3人は、映画のキャストのイメージで定着してしまいました。脇役もバッチリです。みんな上手ですね~。
演出も非常によかったです。けして派手ではないけれど、すごく丁寧にあの世界が描かれていて、物語にドップリと入り込ませてもらいました。
なので、本当に大満足でした!
やっぱり見事に涙が溢れましたね…。隣では彼女が僕の3倍は泣いていました。
心に染みる、最高のラブストーリーです。
「愛は死よりも強い」というテーマ、みなさんも受け止めてください。



話は変わりますが…
『テスト・ザ・ネイション2004』、みなさんはやりましたか?
自分の〈IQ〉が判るという番組です。
僕は、今回は〈IQ=140〉でした。
たしか前回は130台の後半だったので、少しアップしました。
これをやって、自分がいかに〈左脳人間〉なのか、確信が深まりました。
たぶん、僕には右脳はありません。
けれど今回も、〈言語〉と〈論理〉の問題は全問正解だったので、
〈ミステリ作家〉としての素質はあるのでは?…と自惚れてみたり。
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# by seikiabe | 2004-11-04 17:26 | 雑記 | Comments(8)
どうもありがとうございます!
b0030720_20223396.jpgBlogを始めてから、1ヶ月とちょっと経ちました。
とにかく解らないことだらけで、トライ&エラーの
日々でありました。(初心者ですいません)
ようやく少し形になってきたかな~と思います。
人気Blogランキングも少しづつ上がってきました。
近頃は〈ブクログ〉なども始めたりしております。

いろいろと優しく教えてくださった方々、
リンクやトラックバックをしてくださった方々、
拙い記事や小説を読んでいただいて…
 とっても素敵なコメントをくださった方々、
タイ在住の我が相棒(生きてるかい?)に、
あらためてお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。大感謝です。
そして、今後ともよろしくお願いいたします!

…週末はいつも彼女の家で過ごしているので、
更新やお返事が滞ってしまうことをご容赦ください。


ここで、とっても簡単なミステリを1つ。
ショーンとブラッドは友人です。
知り合って3年ほどになりますが、今ではお互いになんでも相談できるほどの仲です。
秋も深まる日曜日の午後、ショーンはブラッドの家に遊びに行きました。
するとショーンがブラッドの家のすぐ近くまで来た時、ちょうどブラッドが家から出てきました。
お互い顔を見合わせます。
ところがブラッドは、そのまま黙ってどこかに出かけていってしまいました。
ショーンはショーンで、まるで何事もなかったのように歩き出しました。
そしてショーンは、ブラッドの家の呼び鈴を鳴らしましたが、もちろん留守です。
ショーンはしばらく考えた末、あきらめて自分の家に帰っていきました…。

2人はケンカをしていたわけでも、ブラッドにそれほどの急用があったわけでもありません。
さて、いったいどういうことでしょうか?

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# by seikiabe | 2004-10-29 20:47 | ミニ・ミステリ | Comments(17)
SF小説としての『ガンダム』
前の記事で『星を継ぐもの』というタイトルに触れながら、やはり無視する訳にはいかないでしょう。
そう、劇場版『機動戦士Zガンダム-星を継ぐ者-』です。
サブタイトルの引用には目を瞑りましょう。僕は、世界で最も〈Zの映画化〉を願った1人ですから。

確かに『ファースト』は、神聖なる原典です。
しかしながら、『Z』もとても素晴らしい作品でした。
 カミーユよりもアムロの方がよかった。
 シャアが脇役に成り下がってしまった。
 ストーリーが重すぎる。(特にラスト)
などの弱点は認めましょう。
けれど、それを補って余りある魅力に溢れていました。
映画化さえされれば、もっと認められるのに!…と願って幾年月……。
ゲーム化され、DVDボックス化され、そして遂に!!
さあ、みなさん、この喜びを共に分かち合おうではありませんか!
そして、〈小説版〉を未読の方は、ぜひぜひ読んでみてください! (全5巻あります)
TV版だけでは『Z』の世界の魅力を、半分も伝えきれてはいないのです。
TVを観なかった人は、小説だけでもお読みください。
『機動戦士Zガンダム』は、〈SF小説〉として屈指の名作ですから。

そしてできるならば、『逆襲のシャア』の小説も読んでください。
これは、本当に大傑作です。
〈アムロvsシャアの物語〉の真の結末が、ここにあります。
劇場版で数々の妥協を強いられた監督が、本当はこうだった…という真の物語を綴った作品です。
例えば、シャアの《サザビー》は、《ナイチンゲール》と呼ばれています。
そしてアムロは、死の前に子供を残しているのです。
これを読まずして、ガンダムは語れません。
〈重力に魂を引かれた人〉にならないために、絶対必読の書なのです。

残念ながら、『ファースト』の小説版はお薦めできません。
コミックの『THE ORIGIN』を読まれたほうがよいでしょう。
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# by seikiabe | 2004-10-28 20:12 | レビュー | Comments(9)