正直に言いまして、『自由人』というお話をこのBLOGにアップするか
迷ったのですが(軽く読みやすい雰囲気の場所にしたかったので)、 結果的には予想外に反響も大きくて驚きました。 その中で登場人物の唱えた過激な〈平和論〉に対しても、たくさんの ご意見をいただいて、僕自身にとっても、戦争や平和や宗教などに ついて、改めて考え直すきっかけともなりました。 答えなど出ることのない問題ではありますが、一生をかけてずっと 考え続けていきたいと思います。 inablinkさんはじめ、ご意見等をくださったみなさまに、深くお礼をもうしあげます。 本当にありがとうございました。 え~、ということで、また軽いノリに戻らせてもらっちゃいますね~。 それでは、久しぶりに、と~っても簡単なミニ・ミステリを1つ。 レオとナッシュは、幼馴染でした。 子供の頃から何をやるのも一緒だったのですが、やがて成長した2人は、 レオは警官になり、ナッシュは裏の世界の住人になったのでした。 ナッシュは組織の中で、主に〈運び屋〉の仕事を行っていました。 宝石や絵画や麻薬などの密輸をしたり、得意の運転技術をいかして、 人や盗品などありとあらゆる物を〈運んで〉いたのです。 レオは何度もナッシュに、足を洗って真面目に働くように説得しました。 そんな熱意に負け、ナッシュも「わかった。真面目になる」と誓ったのですが、 結局組織を抜けることはできず、彼はとうとう刑務所に入ることになりました。 そんなナッシュが出所して半年ほど経った頃、レオはある噂を耳にします。 ナッシュがまた運び屋をやっているというのです。 レオは苦労の末に、ナッシュの隠れ家を突き止めました。 張り込むレオの前に、ナッシュが手にジュラルミンのケースを持って出てきました。 周囲を警戒するようにしながら、車に乗り込むナッシュ。ケースは助手席です。 ナッシュが車を発車しようとした瞬間、レオの車がその進路を塞ぎました。 「ナッシュ、俺は警官としてきたんじゃない。おまえの親友としてきたんだ」 その言葉にナッシュもうなだれます。 「そうか、レオ。だが、おれはもう組織は抜けた。真面目に働いてるんだよ」 「嘘をつくんじゃない。まっとうに働いていて、こんな車に乗れるものか」 「本当だよ。信じてくれよ、レオ。今やってる商売がうまくあたってそれで…」 「なら、その助手席のケースを開けて見せろ」 ナッシュは一瞬だけ躊躇したものの、ケースのフタを開きました。 だがしかし、その中身は空っぽでした。 ケースを念入りに調べましたが、なんの仕掛けもありません。 レオは、車の中をくまなく調べることにしました。 座席、トランク、ダッシュボード、扉に床に天井…。いくら探しても怪しい物はみつかりません。 せいぜい雑誌やCD、それに書類や封筒がいくつか出てきたくらいです。 今度はナッシュの身体検査を徹底的にしました。 「時計はただのデジタルか…」 財布、鍵、タバコ、ライター、携帯電話。財布の中にもやはり不審な物はみつけられません。 「どういうことだ、どこに隠した?」 「何を隠したっていうんだ。はじめから何もないさ」 「いったい何を運ぶつもりだったんだ。麻薬か? 宝石か?」 「だから、言っただろ。もう運び屋はやっちゃいないって」 「この書類と封筒と…そうだな雑誌とCDもだ。持って帰って調べさせてくれないか?」 「……解ったよ。それで、疑いが晴れるなら好きにしてくれ」 2人が別れた後、荒らされた車内や持ち物を軽く整えて、タバコを吹かしながら… 「ふ~、やばかったな。やっぱりそろそろ潮時かもな…」 ナッシュはそうつぶやくと、今日運ぶ〈品物〉に、軽く口づけをしました。 「やべえ、約束の時間に間に合わなくなるぞ」 時計を見たナッシュは、スピードを上げて夜の闇へと消えていきました。 さて、ナッシュはいったい何を、そしてどうやって運んでいたのでしょうか? (簡単なので、自信のある方は〈非公開〉で解答していただくとありがたいです)
by seikiabe
| 2004-11-22 18:28
| ミニ・ミステリ
|
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
ひとり伝言練習 Mistery blog エル母からのつれづれ make a prett... ヒトコト m(_ _)m... Jugemu - Magic 月の光 雨のしずく HEAT 話すコトバをアタシは知らない 躁うつ病患者の独り言 空と風 追憶 What I am... 虚報タイムス※移転しまし... 個人的なココロの時間。 clear water yaccostyle bobのポエム部屋 検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||