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目指せ名探偵! 再び
目指せ名探偵! 再び_b0030720_15214725.gif正直に言いまして、『自由人』というお話をこのBLOGにアップするか
迷ったのですが(軽く読みやすい雰囲気の場所にしたかったので)、
結果的には予想外に反響も大きくて驚きました。
その中で登場人物の唱えた過激な〈平和論〉に対しても、たくさんの
ご意見をいただいて、僕自身にとっても、戦争や平和や宗教などに
ついて、改めて考え直すきっかけともなりました。
答えなど出ることのない問題ではありますが、一生をかけてずっと
考え続けていきたいと思います。
 inablinkさんはじめ、ご意見等をくださったみなさまに、深くお礼をもうしあげます。
 本当にありがとうございました。


 え~、ということで、また軽いノリに戻らせてもらっちゃいますね~。
 それでは、久しぶりに、と~っても簡単なミニ・ミステリを1つ。

   レオとナッシュは、幼馴染でした。
   子供の頃から何をやるのも一緒だったのですが、やがて成長した2人は、
   レオは警官になり、ナッシュは裏の世界の住人になったのでした。
   
   ナッシュは組織の中で、主に〈運び屋〉の仕事を行っていました。
   宝石や絵画や麻薬などの密輸をしたり、得意の運転技術をいかして、
   人や盗品などありとあらゆる物を〈運んで〉いたのです。
   レオは何度もナッシュに、足を洗って真面目に働くように説得しました。
   そんな熱意に負け、ナッシュも「わかった。真面目になる」と誓ったのですが、
   結局組織を抜けることはできず、彼はとうとう刑務所に入ることになりました。
   
   そんなナッシュが出所して半年ほど経った頃、レオはある噂を耳にします。
   ナッシュがまた運び屋をやっているというのです。
   レオは苦労の末に、ナッシュの隠れ家を突き止めました。
   張り込むレオの前に、ナッシュが手にジュラルミンのケースを持って出てきました。
   周囲を警戒するようにしながら、車に乗り込むナッシュ。ケースは助手席です。
   ナッシュが車を発車しようとした瞬間、レオの車がその進路を塞ぎました。
   
   「ナッシュ、俺は警官としてきたんじゃない。おまえの親友としてきたんだ」
   その言葉にナッシュもうなだれます。
   「そうか、レオ。だが、おれはもう組織は抜けた。真面目に働いてるんだよ」
   「嘘をつくんじゃない。まっとうに働いていて、こんな車に乗れるものか」
   「本当だよ。信じてくれよ、レオ。今やってる商売がうまくあたってそれで…」
   「なら、その助手席のケースを開けて見せろ」
   ナッシュは一瞬だけ躊躇したものの、ケースのフタを開きました。
   
   だがしかし、その中身は空っぽでした。
   ケースを念入りに調べましたが、なんの仕掛けもありません。
   レオは、車の中をくまなく調べることにしました。
   座席、トランク、ダッシュボード、扉に床に天井…。いくら探しても怪しい物はみつかりません。
   せいぜい雑誌やCD、それに書類や封筒がいくつか出てきたくらいです。
   今度はナッシュの身体検査を徹底的にしました。
   「時計はただのデジタルか…」
    財布、鍵、タバコ、ライター、携帯電話。財布の中にもやはり不審な物はみつけられません。
   
   「どういうことだ、どこに隠した?」
   「何を隠したっていうんだ。はじめから何もないさ」
   「いったい何を運ぶつもりだったんだ。麻薬か? 宝石か?」
   「だから、言っただろ。もう運び屋はやっちゃいないって」
   「この書類と封筒と…そうだな雑誌とCDもだ。持って帰って調べさせてくれないか?」
   「……解ったよ。それで、疑いが晴れるなら好きにしてくれ」

   2人が別れた後、荒らされた車内や持ち物を軽く整えて、タバコを吹かしながら…
   「ふ~、やばかったな。やっぱりそろそろ潮時かもな…」
   ナッシュはそうつぶやくと、今日運ぶ〈品物〉に、軽く口づけをしました。
   「やべえ、約束の時間に間に合わなくなるぞ」
   時計を見たナッシュは、スピードを上げて夜の闇へと消えていきました。
   
   さて、ナッシュはいったい何を、そしてどうやって運んでいたのでしょうか?


 (簡単なので、自信のある方は〈非公開〉で解答していただくとありがたいです)

 
by seikiabe | 2004-11-22 18:28 | ミニ・ミステリ


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